2014年02月28日

ああ上野駅

鏑木連著「思い出探偵」を読んでいたら、集団就職にまつわる話が出てきました。東北から夜行列車で上京した少年が、苦労に苦労を重ね、成功者となります。そして引退し、会社を息子に譲ったのを機に “恩人” 探しを依頼する・・・そんな話でした。物語の要となるのは一軒のジャズ喫茶。そして「ああ上野駅」という曲です。



「ああ上野駅」

作詩  関口義明  作曲 荒井英一
昭和39年 

1 どこかに故郷の香りをのせて 
  入る列車のなつかしさ
  上野は俺らの心の駅だ 
  くじけちゃならない人生が
  あの日ここから始まった

2 就職列車にゆられて着いた 
  遠いあの夜を思い出す
  上野は俺らの心の駅だ 
  配達帰りの自転車を
  とめて聞いてる国なまり

3 ホームの時計を見つめていたら 
  母の笑顔になってきた
  上野は俺らの心の駅だ 
  お店の仕事は辛いけど
  胸にゃでっかい夢がある


・・・いいですねぇ。こんなにいい歌だったのですね(T_T)
特に3番の歌詞(ホームの時計が母の笑顔に見えるという部分)がたまりません。この時代を何も知らない昭和50年代生まれの私が何故か号泣です

YouTubeを聴き、しんみりしながら読んでいたら、主人公(思い出探偵)がこう言いました。
『実は、この曲には途中にセリフが入るんだ。何度か耳にしただけだから完全には覚えていないけど、こんな内容だった。自分が東京に出てきてしまって野良仕事がきつくなっただろう。休みが取れて帰ったら、母ちゃんの肩をいやだというぐらいに叩いてやるよって、おおよそそんな内容だ。このセリフを聞いた時にね、理屈抜きに、参ったよ。だってそうだろう、彼らは家のために上京して、働くことを余儀なくされたんだ。中には昔で言う口減らしだと認識して、夜行列車に乗った子供もいる。なのに自分が抜けたことによる負担を心配する。それどころか自分がいなくなって大変な分、肩を叩いてあげたいって言うんだ。昭和三十年代とは、そんな時代だったんだと思うと、胸が詰まるよ。ああ上野駅の歌詞に出てくる主人公は、感謝の気持ちを持っているんだ。』

・・・ハッとしました。
聞き手の青年(私と同年代)がこれを聞いて述懐するように、今の時代は「感謝の気持ちよりも不平不満で充満して」います。
折りしも先日、名古屋駅前の歩道に車で突っ込んだ若者が「動機は1つではない。家庭や社会に不満があった。」と供述していると聞きました。なんだかそんな事件ばかりですよね最近・・・
口減らしに出されながらも親の肩を叩いてあげたいと言う15歳。警察幹部の息子に生まれ仕送りで生活しながも親を憎み無差別殺人に走った30歳。

だからどうだと教訓めいたことを言うつもりはありません。
ただただ「時代だな・・・」と呟くのみです。

shizutamarakugo at 20:00コメント(4)トラックバック(0) 

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コメント一覧

1. Posted by オスカー   2014年02月28日 23:03
こんばんは。上野駅に歌碑がありますよね。ヤンキーのおにいちゃんが座っていて、近くで見ることが出来ず……昔、ナツメロ番組では必ず流れていました。だから私も歌えます!←オンチですが(笑)
『思い出探偵』の中ではこの話が一番好きかも……お互いを思いあっている感じが奥ゆかしく、あの年代の人らしくて、日本人らしくて……当時の上野を知らないのに情景が浮かんできました。

明日から3月、また仲良くして下さいね(^.^)
2. Posted by HyperChem   2014年03月01日 00:57
昔は今ほどの技術がない分、人を惹きつけるものが
素朴だったと思います。
今はなき特急も映っていて懐かしかったです。
戻れないけど戻りたい。
これからを生きる人は、その先に希望が持てるようで
あって欲しいです。
猫ムスメさん、昭和50年代なのに、渋いですねぇ(^^ゞ。
3. Posted by 猫ムスメ   2014年03月01日 07:28
オスカーさん

私も「鶴を折る女」が一番好きでした。謎を追う過程がちょっと詰め込みすぎ・駆け足すぎかなとは思いましたが、物語全体に漂う「昭和感」がいいですよね。同じく当時の上野駅を思い出しながら(←知りもしないのにw)読みました

「ああ上野駅」、歌えるとはすごいですね(笑)。私は今回初めてマトモに聴きました。やはり昔の日本歌謡って心に残ります。まだ人と人との繋がりが強く、支え合って生きていた頃の日本が蘇るんでしょうね。

歌碑の前に座り込んでいたヤンキー達にも聴かせたいです(-"-;)
4. Posted by 猫ムスメ   2014年03月01日 07:53
HyperChemさん

昔の歌謡曲って素朴ですよね。歌詞もメロディーも技巧に走らずシンプルなのに、何故か心に残ります。以前も「空がとっても青いから」について書きましたが、本当に琴線に触れます。ま、昭和50年代生まれのお前に何が分かると先輩方には怒らてしまいそうですが(^_^;)

ちなみに十数年前から「オールウェイズ」を始めとする昭和ブームが起きましたよね。あれは、あの頃の日本・あの頃の日本人とはあまりに違ってきてしまった…と人々が気付いたからこその現象だったと思います。
あの頃に戻りたい、でも戻れない。戻っていいものかもわからない。そんなジレンマが今も根強く続く昭和ブームを支えているのでしょう。


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