道具屋殺人事件

2010年09月29日

芝浜謎噺うまや怪談












最近読んだ本

 

「芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席捕物帳」 愛川晶 著

 

前作「道具屋殺人事件」に続く神田紅梅亭寄席物帳シリーズ第二弾。
今回も前作同様、二つ目・寿笑亭福の助とその妻亮子を中心とした短編が3篇収録されている。

監修・解説も引き続き鈴々木わか馬さん。この時点ではまだ二つ目の「わか馬さん」だったが、今となっては立派な「小せん師匠」なのが感慨深い。

 

今は落語ブームで様々な本が出ているし、噺家を探偵に置いたミステリも初めてではない。実際私も何作か読んでいるが、本書は落語を背景にして謎を解いていく、落語とミステリをどちらも堪能できる秀作だと思う。落語と本格推理が違和感なく融合させている。

 

今回は『野ざらし死体遺棄事件』 『芝浜謎噺』 『試酒試』
の3つストーリーが少しずつオーバーラップしながら語られていて、どちらかと言うと謎解きよりも人情噺よりに仕上がっている。古典落語の改作という難しいテーマに挑んでいるが、筆者の落語に対する造詣の深さが感じられ、実際に高座で聴いてみたいと思わされた(中の一部分は秘密裏にわか馬さんが口演したらしい)。

 

今、第三弾の「うまや怪談」を読んでいる最中。

最後のあたりで次回、馬春師匠が高座に復帰する前振りがされていて、心憎い。

次作が楽しみなシリーズだ。



shizutamarakugo at 19:25コメント(2)トラックバック(0) 
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